ロンドン公演を終えて

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シルヴィ・ギエム「6000 miles away」、9月のロンドン公演を終えて。

今回の4回公演でも、満席のシルヴィ・ギエムファンの前でキリアン振付「27’52″」の抜粋デュエットを踊った。この作品は、オリジナルでは6人のダンサーによって、27分52秒かけて上演される作品であるが、この公演では、14分に作り直したデュエット作品を上演している。

今回のキリアン作品の批評は様々で、厳しい批評も多い。特に英国では、キリアン自身が「いい批評だったら、振付けをやめてもいい」と冗談を言うほど、新しい作品に対しては、いつも厳しいのだけれど、やはりすごく気になるし、責任を感じる。

そんな中、キリアン作品も、NDTというダンスカンパニーも、ましてや僕ら無名のダンサーに興味のないシルヴィファンの前で踊るのは、落ちつかない。けれど、毎回踊り終わった瞬間に暖かい拍手と大歓声に包まれると、ほっとし、観客の広い心とダンスに対する深い愛情と興味に感激せずにはいられない。

マッツの作品も、フォーサイスの作品も、正直言えば、もっとそのスタイルを上手く踊りこなせるダンサーはいる。彼らには、彼らのカンパニーがあって、そこのダンサーたちはバレエからは離れていても、素晴らしい踊りと感性、そして振付家の意思が深く刻み込まれている。けれど、前衛的でマニアックな作品に進み過ぎていて、近年作品を知らないで突然公演に行くと、「訳が分からない」で終わってしまう。

だが、シルヴィが踊ることによって、たくさんのバレエファンに見てもらえ、バレエから生まれたコンテンポラリーダンスを広めている。シルヴィ以外は、ノーコメントという厳しい批評、観客も中にはいるけれど、それでも公演後に、たくさんの方から声をかけて下さり、本当に嬉しかった。

踊りは、言葉を使わないから、見て感じるもの。だからすべての人が、同じものを好きにはなれないし、生理的に受け付けないものもある。だけれども、その踊りから出るエネルギーやダンサーが訴えたいとしているものを少しでも感じて頂けたら、少しでも共感して頂けたら光栄です。

今回のロンドン公演、いろんな感情が入り乱れたけれど、観客の暖かい拍手に励まされ支えられて、思いっきり自分らしく踊れた。

あああ、一人じゃ弱くてなにもできねぇ!